映画「ファースト・マン」ネタバレ無し感想。圧倒的映画体験!必ず劇場で観るべし!

映画

こんばんは。プラネタリウムは必ず寝ます、さめおです。

今日はデイミアン・チャゼル監督の新作映画「ファースト・マン」のレビューをお届けします。「セッション」「ラ・ラ・ランド」と傑作を生み出し続けた若き鬼才が今回選んだのは宇宙!その出来栄えやいかに…。ではいつも通りあらすじから。

あらすじ・予告編

幼い娘を亡くした空軍のテストパイロット、ニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)は、NASAの宇宙飛行士に応募し、選抜される。彼は家族と一緒にヒューストンに移り住み、有人宇宙センターで訓練を受ける。指揮官のディーク・スレイトン(カイル・チャンドラー)は、当時の宇宙計画において圧倒的優位にあったソ連も成し得ていない月への着陸を目指すと宣言する。

『ファースト・マン』本予告映像

解説・感想

冒頭にも書いた通りデイミアン・チャゼル監督は今まで「セッション」「ラ・ラ・ランド」と音楽に関係した映画を作ってきました。大学時代のルームメイトである音楽家、ジャスティン・ハーウィッツと共に長年構想を温めてきた「ラ・ラ・ランド」はアカデミー賞14部門ノミネート・6部門受賞という華々しい記録を残しました。これで次回作への期待がかなり高まっていた中、入ってきたのは”デイミアン・チャゼルが「宇宙映画を作る」という情報。これを聞いたときは正直期待半分、不安半分でした。音楽映画の監督として一流になったチャゼル監督が宇宙を描く様が全く想像できなかったのです。

宇宙映画と言えば、2010年代に入ってから製作ペースが上がってきているように感じます。宇宙で遭難する恐怖を生々しく描いた「ゼロ・グラビディ」やSF映画の新しい金字塔になった「インターステラー」、火星でのサバイバルを描いた「オデッセイ」、アメコミ×宇宙の傑作「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズなどなど…。これらは映像技術の進化と宇宙開発の進歩、双方が揃った現代だからこそ作れた映画だと思います。そしてデイミアン・チャゼル監督の新作映画「ファースト・マン」はその名作の中に名を刻めるレベルの傑作だったのです!

今作は初めて月に立った宇宙飛行士、ニール・アームストロングの伝記本「ファーストマン:ニール・アームストロングの人生」という本が原作となっています。今まではオリジナル脚本で映画を作ってきたチャゼル監督にとって脚本が先にあるというのは初めての経験ですし、しかも実在の人物の伝記映画です。実際「ラ・ラ・ランド」の制作時は初期構想から大きくストーリーを変えたシーンもあったようなので、今作の製作は今まで以上に難しい挑戦だったと思います。

そんな本作の目玉は何と言っても大迫力の宇宙船内シーン。特に冒頭10分間、そして中盤のジェミニ8号のシーンは圧倒的で、一人称視点を多用したカメラワーク、臨場感あふれる音響効果がまるで自分も乗船しているかのようでした。また本作の目的であるに降り立つシーンでは効果的に無音を使う事で観客も息を呑む程の緊張感を生み出しています。今回僕はIMAXで観たのですが、この選択は大正解だったと思います。観るというより体験するという表現がピッタリの本作は最高の設備で観てほしいです。個人的には2017年公開の映画「ダンケルク」と同等かそれ以上の臨場感を感じられましたね。あちらは戦争の疑似体験でしたが、今作は宇宙飛行の疑似体験です。

ただIMAX推奨!と言っても全シーンが見どころという映画ではありません。宇宙船シーン以外は比較的静かで淡々とした印象です。元が伝記本なのでしょうがない部分もありますが、その様は人によっては退屈に感じるかもしれません。ただ今作もチャゼル監督が過去作で魅せてきた”目で語る“ようなシーンが多く、彼らしさは良く出ていたと思います。特にニール・アームストロングを演じたライアン・ゴズリングとその妻を演じたクレア・フォイの二人は無言で感情を表すカットが多く、その多くを語らない夫婦像は本作を映画的にするために大きな役割を果たしてくれたと思います。相変わらずゴズリングは悲し気な表情が似合う…(笑)

鑑賞してみて少し意外だったのは本作がニール・アームストロングの成功記、というよりもアポロ計画の無謀さ・不安定さを前面に出した作風であった事。公開前にかの有名な星条旗を立てるシーンが無いという事でアメリカの一部から批判も上がっていたのですが、本当に輝かしいシーンというものが少ないのです。宇宙船に乗るシーンでは多くの不備箇所が映りますし、何かが軋む音も至るところから聞こえてきます。またこれから乗船というシーンの一人称視点カメラでは謎の汚れが付着していたりと、とにかく不安をあおるシーンの方が印象的です。

アポロ11号という言葉は宇宙関係の書籍・映画で必ずと言っていい程目にする言葉ですが、本作の本質的なテーマはその裏に隠されたアポロ1~10号、そしてその前段にあった多くの計画たちです。人々が歓喜に包まれた月面着陸、それは多くの犠牲の上に成り立っているという事を忘れないでほしいというメッセージが隠されています。計画失敗のシーンも結構生々しく描写されるので「ラ・ラ・ランド」と同じ感覚で観るべきではない映画ですね。自身が伝記映画を体験する主人公になるような心持ちで観に行く映画かと。

最後、音楽について。今までのチャゼル監督作品は音楽映画だったので音楽担当のジャスティン・ハーウィッツはかなり目立っていましたが、本作では少し控えめ。ところどころで彼らしい印象的なメロディも流れたりしますが、大部分は音響効果的な音楽です。今まではリズムを刻むのはほとんどドラムでしたが、本作ではハリウッド大作で多く耳にする破裂音的なサウンドが多かったですね。仕事ぶりは一見控えめですが、”音楽“よりも”“が大きな役割を担っていた本作には良く合っていたと思います。こんなタイプの音楽もできる事が証明されたので、そろそろチャゼル監督以外との組み合わせも観てみたいなぁ…。

最後に

評価:☆☆☆☆☆(5/5) 映画体験と呼ぶにふさわしい傑作映画です!最も良い環境で観てほしい

何度でも言いますが、とにかく映画館へ体験しに行ってほしい作品です。淡々と進むストーリーで静かな描写も多いので、家で観てしまうと恐らく魅力半減、もしくはそれ以上だと思います。監督こだわりのIMAX映像と圧倒的な音響効果、できる限り最高の設備を持ったスクリーンで観る事をオススメします!

今日はこんなところで。ではまた。

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