映画「移動都市/モータル・エンジン」解説&ネタバレ感想 – ピーター・ジャクソンの動く城

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こんばんは。部屋ごと移動してくれたらとは思う、さめおです。

今日も今日とて新作映画レビューです。アカデミー賞取った「グリーンブック」やIMAX限定先行上映の「スパイダーマン:スパイダーバース」も早く観たいんですが、ファーストデーに選んだのは「移動都市/モータル・エンジン」!

今年の初めに投稿した記事でも期待の新作として取り上げたんですが、あまり宣伝も見ないのでご存知無い方も多いかも。実は本作、当初はIMAX上映も含めかなりのスクリーン数で全国公開する予定だったのが、アメリカや海外での興行が振るわなかった事から縮小公開になってしまったんですよ…。当然IMAXも取り上げられちゃったし…。かの有名なピーター・ジャクソンがプロデュースした事でも話題となっていただけに、この扱いは非常に残念。

という訳でなんかすぐに上映打ち切られそうな予感がプンプンする本作を真っ先に観てきました!まずはあらすじから。

あらすじ・予告編

フィリップ・リーブの小説「移動都市」を「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のピーター・ジャクソン製作、脚本で映画化。「60分戦争」と呼ばれる最終戦争から数百年の時が過ぎ、わずかに残された人類は地を這う移動型の都市で生活することを余儀なくされた。巨大移動都市ロンドンは、都市同士が捕食しあう弱肉強食の荒れ果てた地でその支配を拡大させ、小さな都市を捕食することで成長を続けている。そんなロンドンの指導者的立場にあるヴァレンタインに対し、過去のある出来事から復讐心をたぎらせる少女ヘスターは、ある小都市がロンドンに捕食される騒ぎに乗じてロンドンに潜入。ヴァレンタインに刃を向けるが……。へスター役は「アンナ・カレーニナ」などに出演したアイスランド出身の新鋭ヘラ・ヒルマー、仇敵となるヴァレンタイン役をヒューゴ・ウィービングが演じた。監督は、これまでのピーター・ジャクソン作品にストーリーアーティストや視覚効果、第2班監督などで携わり、「キング・コング」ではアカデミー視覚効果賞を受賞したクリスチャン・リバーズ。

映画.comより
『移動都市/モータル・エンジン』日本版本予告映像

解説

興業がこけたとは言え予算上は超大作なので、スタッフやキャストには一流どころが結構いますよ!

スタッフ

本作は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで有名な映画監督、ピーター・ジャクソンが製作及び脚本を担当しています。まぁ都市が動き出すところとかよくわからないガジェットがいっぱい出てくるところとか、彼の好みど真ん中って感じですからね。しかし今回、監督は担当していません。

ピーター・ジャクソンの息がかかりまくった本作でメガホンを取ったのは本作が監督デビュー作となるクリスチャン・リバース。どこの馬の骨なんだと思って調べてみたら、ピーター・ジャクソンが監督した作品全てでストーリーボードアーティストをやっていた方のようです。視覚効果を担当した作品のいくつかではアカデミー賞など権威ある賞を受賞している、裏方ではかなり名のしれた存在みたいですね。今回の監督抜擢はピーター・ジャクソンの推薦なのかな?

ピーター・ジャクソン以外の製作者も「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどを彼と共に手掛けた面々がズラリと。正にピーター・ジャクソンファミリーといった顔ぶれですが、その中で異彩を放つのが音楽担当のトム・ホルケンボルフジャンキーXL名義で「マッドマックス 怒りのデスロード」や「デッドプール」なども担当しており、近年の映画音楽界に新しい風を吹かせている彼。そういえば先週観た「アリータ:バトル・エンジェル」も彼が音楽担当してたなぁ。売れっ子だなぁ。

キャスト

主演の二人は小規模映画やドラマが中心で大作映画で主役級を張るのは本作が初めてのようです。なのであまり特筆すべき点は無し!えーと、これからに期待。

で、この二人と敵対する事となる本作の悪役ヴァレンタインは「マトリックス」シリーズのエージェント・スミスや「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのエルロンドでお馴染み、ヒューゴ・ウィーヴィング!他にも「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」でも悪役レッドスカルを演じているので、個人的には悪役の人っていう印象が強いなぁ。結構顔が濃いので、ファンタジーとか異世界系で映える人です。

またもう一人の悪役シュライクとして「アバター」のマイルズ・クオリッチ大佐や「ドント・ブリーズ」の盲目おじいちゃんを演じたスティーブン・ラングがキャスティングされています。人造人間であるため顔もほとんど覆われてしまっていますが、圧倒的な存在感は健在。

感想

以下、ネタバレ有りの感想です。未見の方はご注意ください。

映像スゲェ!

もうね、冒頭のワクワク感は凄いんですよ。主人公の住む街がロンドンという巨大都市に襲われるところから始まるので、ロンドンの大きさや恐ろしさはビンビン伝わるし、世界観の説明としてもバッチリだったと思います。個人的にはこんな都市vs都市をイメージして観に来たので、タイトルが出るまでのシークエンスはめっちゃ燃えました!

そして主人公2人がロンドンの外へ投げ出された後もムカデ型の移動都市や海上の移動刑務所、反移動都市同盟の出現と彼らの本拠地でもある楯の壁などワクワクする世界が広がっていました。これらの映像はどれも魅力的でスケールの大きかったので、やはり映画館で観て良かった。欲を言えばもうちょい大きなスクリーンで観たかったけど…。

ロンドンへ特攻をかけるラストバトルも良かった。もっとパイロットいねぇのかよ!ってツッコミどころはあったものの、デススターに挑むレジスタンスの如くロンドンへ挑む半移動都市同盟の活躍はお約束ながら迫力があって良かったと思います。ロンドンさん、資源がどうこう言ってた割には結構攻撃手段持ってたんですね(笑)

キャラクターも良し

そんな世界観に住むキャラクターたちも個性豊かで良かったです。正直主人公2人はボーイミーツガール系の典型というかテンプレみたいなキャラなんですが、その脇の面子が良い。

まずは主人公の師匠ポジかつお助けキャラでもあるアナ・ファン。本作におけるアクションパートの大部分を一手に引き受け、女性一人で敵をバッサバッサ倒していく様は爽快。それでいて自分を貫き通すラストバトルもかっちょいい。演じるのはミュージシャンとしての顔も持つ韓国人女優、ジヘ。個人的には「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」で無双していたドニー・イェンを思い出しました。体張るアジア人枠はやっぱ良い。

そして本作で最も複雑で悲しいキャラでもあるシュライク。最初の方は演出がホラー寄りでちょっとビクビクしながら観てたし、追跡者なのに走らずその結果取り逃がすとかやってたのでなんだこいつ状態だったんですが、へスターとの親娘関係がわかってからは一転。過去編のシュライクは不器用ながらも親そのもので、そんな彼がへスターを執拗に追う理由もわかる。それをわかった上で最後、へスターを許すシーンで不覚にもウルっと来てしまいました。走馬燈のシーンとかずるいじゃんよ…。ただ残念なのは彼のエピソードがあまり本筋には絡んでこない事。もったいないなぁ…。

都市バトルしてよ…

ここまで良い点挙げてきたので、ここからマイナスポイント。まず一番残念だったのがコレ、都市同士のバトルがほとんど無ぇ…。オープニングであんだけ良かったんだからこっからもっと上げてくぞ!な展開かと思ったら、その後は都市同士のバトルは全くのゼロ。終盤楯の壁に攻め入るシーンも都市同士のバトルじゃないしなぁ。

個人的にはもっとね、「トランスフォーマー」とか「パシフィック・リム」ばりにノーガードの殴り合いを期待していたんですよ。まぁ予告で見抜けなかった僕が悪いと言われればそれまでなんですが、僕以外にもそういう展開を想像していた人多いんじゃないかなぁ。移動都市がメインの世界観のはずなのに、ロンドン以外に陸上都市がほとんど出ないのも残念。作中で狩りつくしたみたいな事も言ってたんでしょうがないですけど。前日譚的な感じでロンドンが色んな都市を狩りまくるスピンオフを観たい(笑)

2時間越えでも足りない世界観

都市バトルの少なさに拍子抜けしてしまいましたが、途中からは気持ちを切り替えてボーイミーツガールものととして観ました。が、どうにも乗り切れない…。鑑賞後色々考えてみた結果、色々と説明不足だったんじゃないかという結論に至りました。

本作、上映時間は129分と決して短くはないんですよね。でもその中に世界を滅ぼした60分戦争、ヴァレンタインの野望、反移動都市同盟の動き、荒廃した大地の描写、へスターとヴァレンタインの因縁、そしてシュライクという存在の説明とへスターとの過去編ととにかくやる事が盛沢山すぎました。特にシュライクのエピソードは単品としては良かったものの、その結果他エピソードの掘り下げが犠牲になった感じもあります。

60分戦争は何故起きたのか、そこからどうして都市が移動するようになったのかといった根幹部分の説明がほとんど無かったのは結構マイナスだったと思います。世界観は凄いんだけど、観客をそこへ誘導する道筋が薄かった気が。で、そんな状態でロンドンよりもはるかに大きい反移動都市同盟の本拠地が出てきたもんだから、僕は「はじめっからみんなここ住めば良かったじゃん」っていう感想しか出なかったです。なんか移動都市にこだわる理由が見つからなかったなぁ…。

まとめ

評価:☆☆☆★★(3/5) 素材は完璧だったと思う。でも使いきれなかったね…

とにかく一言でまとめるとコレ。あれもこれもと色々やってみた結果、主題が定まらずちょっと迷走してしまった感じ。近年だと「スーサイド・スクワッド」がそうだったなぁ。あっちはユニバースものなんだから先に色々やっとけよって感じでしたが、本作はこれが1作目だから難しいだろうし。もうちょっと絞るか2時間半くらいかけてやっても良かったかも。それでも「ロード・オブ・ザ・リング」単品より全然短いから、多分ピーター・ジャクソンファンは「あれ?なんか短かったなぁ」ってなるよ!(多分)

以上!

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